四国で登山を始めるなら、どの山がいいだろうか。

これまで剣山、三嶺、石鎚山、瓶ヶ森、丸笹山など、四国の山には何度か登ってきました。

登山記録はそれなりに書いていますが、初めて登る人向けにまとめた記事はありませんでした。

ということで、今回は四国で最初に登りやすそうな山をいくつか挙げてみます。

選んだ基準はだいたい次のようなものです。

  • 日帰りで行程を短くできる
  • 一般的な登山道が分かりやすい
  • 山頂まで行かなくても景色を楽しめる
  • 駐車場や公共交通など、登山口へ行く方法が比較的分かりやすい
  • 危ない場所を通らないルートを選べる

難易度だけで並べるというより、登山で何を見たいかによって選べるようにしました。

最初に注意

初心者向けと書いていますが、安全が保証されているという意味ではありません。

飯野山のような低山でも夏はかなり暑くなります。剣山や瓶ヶ森のような標高の高い山では、登山口が晴れていても風、雨、霧で状況が変わります。

この記事で想定しているのは、雪のない時期に一般的な登山道を歩く場合です。積雪期や凍結時は同じ山でも別の難易度になります。

当日は天気、道路、公共交通、リフトなどの運行状況を確認し、地図、雨具、水、行動食、ライトは持っていったほうがよいです。

とりあえず山を歩いてみたいなら飯野山

最初は香川県の飯野山です。

讃岐富士とも呼ばれている、丸亀市と坂出市にまたがる標高421.9mの山です。

登山道は主に3本あります。その中では、飯野町登山口から野外活動センターを通るルートが歩きやすく、登る人も多いです。

丸亀市の案内では、初心者や家族連れは休憩を含めて山頂まで1時間ほどを予定するよう紹介されています。

飯野山が最初の山としてよい理由は、登山口までの道が悪くないことです。

剣山や瓶ヶ森の場合、登山を始める前に細くて長い山道を運転する必要があります。飯野山は市街地から近く、登山口まで行くために険しい山岳道路を延々と走る必要がありません。

登る人もそれなりにいます。

もちろん人がいるから何をしても安全というわけではありませんが、初めての山で誰にも会わないよりは安心感があります。道を間違えていないか不安になりにくいですし、何かあったときに助けを求めやすいという点もあります。

標高が低いため、冬でも雪が積もることはほとんどありません。高い山が積雪や登山口までの道路凍結で難しくなる時期でも、比較的歩きやすいです。

低山ではありますが、ずっと平坦というわけではなく、急なところもあります。普段あまり歩かない場合は、時間を気にせず休みながら登るくらいでよいと思います。

途中には看板やベンチがあり、木々の間から讃岐平野や瀬戸大橋が見えます。

飯野山がよいところは、登山のために一日を大きく構えなくても行きやすいことです。

まず山道を歩いてみて、登りがどのくらい疲れるか、下りで脚がどうなるか、山頂で休むのが楽しいかを試せます。

反対に、標高が低いので夏は死ぬほど暑いです。

登山道の多くは樹林帯ですが、標高による涼しさはあまり期待できません。暑い時期に登るなら早朝にして、水を多めに持っていったほうがよいです。初めてなら夏の日中は避けて、春、秋、冬の涼しい日を選ぶほうが楽です。

登山口やルートは丸亀市の飯野山案内にまとまっています。

短い行程で高い山の景色を見るなら丸笹山

次は徳島県の丸笹山です。標高は約1,712mあります。

数字だけ見ると急に高くなりますが、登山口周辺がすでに標高1,500mほどあります。ラ・フォーレつるぎ山や夫婦池付近から登れるため、山頂までの標高差と行動時間を小さくできます。

樹林帯を抜けると笹原が広がり、山頂からは剣山や次郎笈を見られます。

長い距離を歩かなくても、四国の高い山らしい景色を見やすい山です。

飯野山との違いは、登山口へ着いた時点で標高が高いことです。

夏でも街中より涼しい一方、風が吹くと急に寒く感じます。雨や霧が出ると方向も分かりにくくなるので、短い山だからといって天気を見なくてよいわけではありません。

登山口までの国道438号線は山道です。距離よりも車での移動に時間がかかることがあります。

丸笹山と剣山は、途中まで同じ国道438号線を通ります。

12月中旬あたりからは道路が雪に埋まり始めます。冬に入るなら四駆とスタッドレスタイヤが必要で、できればチェーンも持っておいたほうがよいです。

ただ、装備を揃えれば初心者にもおすすめできるという話ではありません。積雪した山道の運転に加えて、登山道にも雪や凍結があります。丸笹山と剣山を初心者向けとして挙げるのは雪のない時期に限り、冬の時期はおすすめしません。

近くのラ・フォーレつるぎ山は登山やハイキングの拠点ですが、冬季は休業期間があります。施設の営業状況はつるぎ町の案内で確認できます。

以前、丸笹山から赤帽子山まで歩いた記録もあります。

丸笹山・赤帽子山

最初は赤帽子山まで足を伸ばさず、丸笹山だけ往復するのがよいと思います。

設備のある高山へ行くなら剣山

もう少し本格的な山へ行ってみたいなら剣山です。

剣山は標高1,955mで、石鎚山に次いで西日本で2番目に高い山です。

標高だけ見ると初心者向けには思えませんが、見ノ越から西島まで季節運行の登山リフトがあります。

リフトを使えば、最初から長い登りを続けなくても、笹原や稜線の景色が見えるところまで上がれます。山頂付近には木道があり、営業期間中は山小屋もあります。

登山者が多く、初めて高い山へ行く場所としては選びやすいです。

見ノ越からの一般的なルートなら、石鎚山の鎖場のような場所を通る必要もありません。

ただ、リフトがあるから観光地と同じというわけではありません。

丸笹山のところでも書いたとおり、冬は見ノ越までの国道438号線から積雪します。初心者が最初に剣山へ登るなら、道路と登山道に雪のない時期を選ぶのがよいです。

標高は2,000m近くあります。風が強い日や霧の日は普通に寒く、山頂付近の木道も濡れていると滑ります。下界が暑くても、薄手の防寒着は持っていたほうがよいです。

剣山まで余裕を持って往復できたら、次に次郎笈まで歩く方法もあります。

ただし、次郎笈を追加すると距離と登り返しが増えます。最初から景色がよいからと全部回ろうとせず、剣山だけで帰る計画にしておくほうが楽です。

以前、見ノ越以外も含めた登山口の記事を書いています。

剣山へのアクセス方法の色々

古い時刻表へのリンクも含まれているため、現在の交通やリフト運行はつるぎ町の案内などで改めて確認してください。

笹原と石鎚山を見たいなら瓶ヶ森

愛媛県と高知県の県境付近にある瓶ヶ森も、登る側を選べば短い行程で高山の景色を見やすい山です。

標高は約1,897mです。

石鎚山の登山口に近い西之川から登ると、山頂までの標高差は1,500mほどあります。このルートは歩く距離も長く、初心者向けとは言いにくいです。

一方、瓶ヶ森林道、いわゆるUFOラインを通って登山口まで車で上がれば、山頂までの距離も標高差もほとんどありません。

瓶ヶ森を初心者向けとして挙げられるのは、この瓶ヶ森林道側から登る場合です。同じ山でも、どこから登り始めるかで全く違う登山になります。

瓶ヶ森のよいところは、笹原の景色です。

視界が開けた場所が多く、天気がよければ石鎚山も見えます。山頂までの距離だけでなく、歩いている途中の景色も楽しめます。

自分が登ったときは男山を経由し、ゆっくり写真を撮りながら歩いて、登山口から男山まで40分ほど、そこから瓶ヶ森山頂まで10分ほどでした。

瓶ヶ森へ行ってきた

このときは瓶ヶ森から西黒森へも向かいましたが、笹が深く、足元が見えない場所が続いて途中で引き返しました。

瓶ヶ森だけなら短くまとめられますが、その先まで同じ感覚で行けるとは限りません。最初は瓶ヶ森の周回だけにしておくのがよいです。

反面、問題になるのは登山口までの運転です。

瓶ヶ森林道は標高1,100mから1,700m付近を通る山岳道路で、車同士が簡単にはすれ違えないくらい幅員のない区間があります。歩く行程は初心者向けでも、山道の運転が苦手な人にはおすすめできません。

また、瓶ヶ森林道は冬季通行止めになります。その期間は、この初心者向けとして紹介している登山口へそもそもアクセスできません。

工事などで通行規制が入る場合もあるため、出発前に道路情報の確認が必要です。

瓶ヶ森の施設情報は西条市の案内、UFOラインの通行状況は管理する高知県いの町の情報を確認してください。

どれを選ぶか

4つをまとめると、だいたい次のようになります。

向いていそうな目的主な注意点
飯野山まず山道を歩いてみたい夏の暑さ、急な登り
丸笹山短い行程で笹原と高山の景色を見たい高所の天候、登山口までの山道
剣山リフトや山小屋のある高山へ行きたい風、寒さ、霧、運行状況
瓶ヶ森笹原と石鎚山の展望を楽しみたいUFOラインの運転と通行規制

登山自体が初めてなら、まず飯野山でよいと思います。

普段から走ったり長く歩いたりしていて、最初から高い山の景色を見たいなら、丸笹山かリフトを使った剣山が選びやすいです。

瓶ヶ森も歩く距離は短くできますが、UFOラインの運転があるので、山道の運転に慣れている人向けです。

最初は全行程2、3時間くらいでいい

登山を始めると、山頂まで行かなければならないように思うかもしれません。

実際には、疲れたら途中で戻ってよいです。

最初は、自分が登りを何分くらい続けられるのか、下りでどのくらい脚が疲れるのかも分かりません。

登山地図などに書かれている標準コースタイムを見て、まずは登って下りるまでの全行程が2、3時間くらいの場所を選べばよいと思います。

計画を組むときは、その時間どおりに帰ってくる前提にはせず、1.5倍から2倍くらいかかるつもりで考えます。

標準コースタイム2時間 -> 3〜4時間を想定
標準コースタイム3時間 -> 4時間30分〜6時間を想定

実際には標準時間より早く歩けるかもしれませんが、最初からそれを前提にはしません。

休憩したり、写真を撮ったり、分岐で地図を確認したりすると時間は増えます。登りで思ったより疲れれば、下りも予定どおりには進まないことがあります。

山頂までの最短時間を目標にするより、明るいうちに余裕を持って戻れる計画にしたほうが、次も行きやすいです。

飯野山で山道を歩いてみる。丸笹山で笹原を見る。剣山で高い山の風を体験する。瓶ヶ森で石鎚山を眺める。

最初はそのくらいで十分だと思います。